· 

コンクールのこと

少し遅くなったが、コンクールのことを書こうと思う。

先日2月14日に名古屋で行われた、第7回ナゴヤサクソフォンコンクールでありがたいことに第1位を頂戴した。

まず最初に、一緒に演奏してくれた大竹、長い道中を付き合いサポートしてくれた豊田に感謝をしたい。

 

このコロナ禍である。フリーで自由に仕事が出来るとはいえそれほど裕福な生活もしていなかった。

それゆえに公共交通機関も特に使わず車移動をした。

東京から名古屋。片道350kmの旅路だった。

 

当日の朝から不安はそこそこにあったが、共に移動をした豊田と大竹のおかげで慎ましくもコミュニケーションを取りながらの移動、あるいは高速休憩中の写真などが良い気分転換となり、比較的ストレスなく車の運転はできた。

会場に近づくにつれ、不安感が襲ってきた。

私が今回挑戦した部門はU25若手演奏家部門。実は3年ぶりのリベンジ戦であった。

3年前は、ラーションの協奏曲を演奏し、この時には世界のサクソフォン情勢を見返して自分の中で、新たな解釈を引っ提げ挑んだものであったが、残念ながら入賞は叶わなかった。

 

あの時の絶望の気持ちは本当に鮮明に覚えていて、もう誰にも連絡を取りたくなくなったことを覚えているし、誰にも会いたくなくなり、全てを捨ててしまいたいくらいに思っていた。

考えてみれば大学3年生の時の後期試験とも重なっていて、この話はまた別に記事にしても良いかなと思うのだが(私としては日本にひそむ常識や芸術に関する諸悪の問題と捉えている)、まあちょっとそれは割愛しよう、話を戻せば、とにかく私が信じる芸術の道がさまざまな方面から受け入れてもらえない時期であったと回顧する。

 

それゆえに今回のナゴヤへの挑戦は、そのような辛い思い出の出来事を直視しながら準備しなければならない現実もあり、自分のためにその記憶や出来事をフラッシュバックさせてはならない、とかなり自分を追い込んでいた面があったと思う。

 

それほど心理的にストレスのかかるものなら、受けないで済ませるという選択もあった。

しかし、おさらい会もといNeuTrial,あるいはLiveStreamingを主宰する代表の人間として、あるいは自分の信念を信じながら演奏し続ける いち芸術家として、説得力のある一つの結果を得るということは、音楽活動上マストで必要な道だった。

 

先ほど、U25若手演奏家部門と書いたが、そう私はこの記事を執筆した時点で25歳。

年齢制限的にもこのコンクールに挑戦できるタイミングはギリギリだった。

しかも三年前の自分のように、音大に在籍しながら将来への道を必死に模索しながら活動している音大生もたくさんいたことだろう。正直自分の中で引け目のようなものを感じていたのも事実だった。音大という守られた場所にいるわけでもない、その猶予の中で結果を残せなかった人間が、この期に及んで年齢制限ギリギリのラインからコンクールを受けるなど、自分のことながら往生際が悪いというか、そういった気持ちはあった。

 

どう考えても振り返れば邪念なのだ。全てのコンクール参加者は第1位を目標に全力を持って準備をしており、そこに歳や経験など全く関係ない。ただ自分は全力で演奏をするだけでよかった。当日に二人のおかげでそのように吹っ切れることが出来たことが何よりの幸運だった。

 

演奏自体は、もちろんミスはあったのだが、それでも一番嬉しかったのが、演奏しながら聴衆の皆様と空気を共有しながら演奏している感覚を持ちながら演奏できたことだった。

なんというか、コンクールの垣根を感じないような演奏が出来たと思う。

それはピアニストとも意見が一致した部分だった。

なので、なおさら、自分たちの思い込みかもしれないけれど、それでも聴いている皆様とあの楽曲を、あの場所でしか聴けない音楽を共有できていたら嬉しいと思った。

演奏した楽曲はアメリカの作曲家、ミーシャ・ズプコのイン・トランジット。

5曲からなる組曲で、全曲演奏すると25分かかる大作だ。

私はこの楽曲に数年前から触れており、今回の演奏は4回目だったと思う。

特に去年の夏からはとあるプロジェクトのために触れている期間が多くなった曲で、勉強を深めるたびにこの曲の持つ美しさや感動的なストーリーを実感していた。

自分が真に好きな楽曲を演奏し、それを堪能してもらえることの幸せを改めて感じた。

 

さて無事コンクールは終わったが、自分自身この数ヶ月の間、やはりインプット力の低下を自分で嘆いている節があり、それはやはり演奏する際のアイデアだったり、このようにブログにアウトプットする際の文章力、あるいは情報の濃さに如実にあらわれている。

しっかりと改めて勉強をし直し、さらに高く飛躍できるよう精進していきたい。

 

改めて日頃より応援、ご指導ご鞭撻いただく方に深く感謝を申し上げます。

 

前の記事ー

次の記事ーNeu Trial#3終演